物理化学 (化学はじめの一歩シリーズ)

物理化学 (化学はじめの一歩シリーズ)の詳細

大学に入学して「基礎化学」、「一般化学」や「物理化学」の講義・試験に打ちのめされている学生は多いはず。でもそれはあなたのせいではないのかも。高校と大学の化学の間に横たわる断絶が原因のようなのです。でも、この本を開いてみると、文字が大きく絵も多いので、化学が苦手な人でも「これならいけそう」と思えてきます。各ページにある脚注（脇にあるので脇注か？）が理解を助けてくれる。脚注には科学者の特徴をとらえた似顔絵もあり、笑える。本書は「何故？」を基調としているため、「物理化学」を（公式の）暗記物から解放してくれる。ぱっと開いて受ける印象とは裏腹に、内容は意外と高度。だから、初学者でも知らぬうちに割と程度の高いところまで導いてくれる。章末問題数は少ないものの（もう少し多くてもよいかと思う）、解答が丁寧なのが有り難い。【7.3】に出てくる「がんばれ阪神タイガース」なるギャグの意が知りたい方は、是非書店で手にとって確かめて欲しい。巨人びいきの私には、「頑張れ」が「ジャイアンツ」に見えてしかがないのだが、これで重要な関係式を忘れることはないだろう。【10.2】の脚注では電池式の縦の「一本線」と「二本線」の違いの説明があり、今までのもやもやが消えた（この点、ちゃんと書かれている教科書はほとんどみかけないし、誤った使い方をしている教科書も多い）。だから、大学生のみならず、大学や高校の先生にもお勧めな教科書といえよう。